コンポストと聞くと、「何となく環境に良さそう」「生ゴミを処理するもの?」と何となく知っていても、具体的にどういう仕組みなのか?どういうメリットがあるのか?と気になっていませんか?
コンポストは生ゴミを処理するための道具ですが、実際には様々な種類があり、選ぶべき人も違います。
この記事では、コンポストとはどういうものなのかについて詳しく紹介します。
コンポストとは?
コンポストとは、生ゴミや落ち葉、枯れ草などの有機物を微生物の発酵分解によって堆肥化するための道具のことをいいます。
本来、英語でコンポストは堆肥のことで、コンポスターとは堆肥化するための容器という意味です。
現代の日本語ではコンポストもコンポスターも全て、堆肥化する容器として理解されている場合が多いです。
コンポストの仕組み
コンポストの仕組みは、生ゴミや落ち葉などの有機物を、土に住む分解者(ミミズ、蛆虫、ダニ、菌類、細菌類)が食べて分解します。
容器の中に生ゴミや有機物を貯めると、分解者が次々と分解していき、また有機物を入れると分解されるというサイクルができます。
定期的にかき混ぜて空気を入れたり、温度が高めて活性化するようにするために菌を入れるなど、分解を早めるために準備をしたり、お手入れが必要です。
コンポストのメリット
コンポストは、環境や社会にさまざまなメリットをもたらす持続可能な取り組みとして、個人や地域社会での導入が進んでいます。もちろん個人としてもメリットがあるので合わせてご紹介します。
廃棄物削減
日本では毎年、多くの廃棄物が家庭や事業所から排出されています。環境省の統計によると、令和4年度の日本の一般廃棄物総排出量は約4,034万トン、1人1日当たりのごみ排出量は880gでした。そのうち、生ごみは家庭から出る廃棄物の約30%を占めており、食品ロスを含む多くの生ゴミが焼却処理されています。
データ参考:環境省 一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和4年度)について

化学肥料の使用削減
コンポストは、生ゴミを処理すると同時に栄養価の高い堆肥として活用できます。これにより、化学肥料の使用を減らすことができます。
CO2排出量の削減
コンポストは、生ごみの焼却処理を避けることで、CO2排出量の削減にも寄与します。生ごみは水分を多く含んでいるため、焼却処理には多大なエネルギーが必要であり、その際にCO2が発生します。一方、コンポストを利用すれば、焼却を回避し、自然な分解プロセスを通じてCO2排出を抑制できます。
自治体のコスト削減
自治体による廃棄物処理には、税金を使ったコストがかかっています。焼却や埋め立てに伴う費用は決して小さくなく、限られた土地資源を無駄にすることにもつながります。生ごみのコンポスト化は、これらのコストを削減し、ゴミ収集や処理にかかる負担を軽減します。
生ゴミの臭いを減らす(個人メリット)
コンポストに入れることで生ゴミをゴミ袋やごみ箱に入れて放置することがなくなるので、生ゴミの臭いに悩む必要がありません。
家庭菜園の肥料ができる(個人メリット)
コンポストで出来た堆肥を家庭菜園に利用できます。有機肥料なので、より自然で健康な作物を育てることが可能です。
環境を考えるきっかけに(個人メリット)
子供の自由研究や教育に役立つ:コンポスト作りは、子供たちが自然のサイクルや持続可能な生活を学ぶ良い機会です。食品廃棄物が土に戻り植物を育てる過程を観察しながら、楽しく環境保護の意識を育てることができます。
身近なエコライフの実現:コンポストは、家庭で手軽にできるエコ活動です。家族と一緒に取り組むことで、日常生活の中で持続可能な行動を実践し、地球環境への意識を高められます。
コンポストの3つの種類
コンポストは用途によって、何種類かに分類できます。また、その中でも処理の方法や、容器の形状、工夫などによって、いくつか種類があります。
大きくわけると下記のように分類できます。
- 生ゴミコンポスト(ダンボール式/密閉式)
- 落ち葉コンポスト(土中式/回転式)
- 生ごみ処理機(バイオ式/乾燥式/ハイブリッド式)
生ゴミコンポスト(ダンボール式/密閉式)
主に家庭で出た生ゴミを堆肥化することを目的に使う場合には、ダンボール式や密閉式などがあります。
ダンボール式
ダンボールを用意し、ココビートや籾殻くん炭、腐葉土などを入れ、そこに生ゴミを投入して処理し堆肥化します。大きなスペースもいりません。一度、コンポストを体験するために、自作してみたいという方におすすめです。
密閉式
密閉式とは、バケツに蓋がついたような容器に生ゴミを入れ、密閉し酸素が少ない環境にすることで、嫌気性菌の働きを活発にし、液体の堆肥を作る方法です。
攪拌する必要がなく、小型で、キッチンにも置くことができるため手軽ですが、生ゴミ投入時や液肥の臭いがすごいので注意が必要です。
落ち葉コンポスト(土中式/回転式)
落ち葉コンポストとは、庭があり落ち葉や枯れ草などを処理し、堆肥化したい場合に使用されることの多いコンポストです。
落ち葉や枯れ草などは分解されるまで時間(1〜3ヶ月)が必要です。
土中式
土中式とは、底が抜けたバケツのような形状の容器で、土の上に容器を設置し、その容器の中に落ち葉や枯れ草、生ゴミを投入していきます。
発酵を促進させるため、米ぬかを入れる場合もあります。虫や臭いの発生が起こりやすく、注意が必要です。
回転式
回転式とは、ハンドルを回すタイプのくじ引きの容器を大きくしたような形状です。
容器の中に落ち葉や枯れ草、発酵促進剤などを入れ、容器を回転させることで中を攪拌できるように工夫がされています。
生ごみ処理機(バイオ式/乾燥式/ハイブリッド式)
生ごみ処理機とは、乾燥や微生物で生ゴミを処理する電動式の家電製品です。生ごみ処理機は家事の軽減やニオイの改善を目的に利用されることが多いです。
処理した後は、コンポストと同様に堆肥として利用できます。
- バイオ式生ごみ処理機
- 乾燥式生ゴミ処理機
- ハイブリッド式生ごみ処理機
バイオ式生ごみ処理機
バイオ式の生ごみ処理機とは生ゴミを微生物に食べさせて分解処理する方式で、微生物の働きを活性化するため、処理機の中では攪拌されていますが、この攪拌に電気を使用しています。
屋外に置くタイプが主流です。
乾燥式生ごみ処理機
乾燥式の生ごみ処理機とは、生ゴミを乾燥させることで生ゴミに含まれる水分を抜き、ニオイの原因になる雑菌の繁殖を抑える方式です。
室内に置くタイプが主流です。
ハイブリッド式生ごみ処理機
ハイブリッド式の生ごみ処理機とは、熱を加え、微生物の働きを活性化させる、乾燥式とバイオ式の両方を掛け合わせた方式の生ごみ処理機です。
室内に置くタイプが主流です。
コンポストの比較
段ボールコンポスト、土中式コンポスト、バイオ式ゴミ処理機の価格、管理のしやすさ、臭い、メリット、デメリットをまとめました。
段ボールコンポスト | 落ち葉コンポスト(土中式) | バイオ式ゴミ処理機 | |
---|---|---|---|
値段 | ◎ | 〇 | △ |
かき混ぜ | △ 毎日 | 〇 週に1回程度 | ◎ かき混ぜ不要 |
臭い | △ | 〇 | ◎ |
処理時間 | 約3か月 | 約3か月 | 1日 |
メリット | 費用が安い 室内でも使用可能 | 大量処理が可能 | 電動で分解が早い 操作が簡単 臭いが少ない |
デメリット | 臭いが発生しやすいことがある 定期的な手入れが必要 大量の生ゴミ処理には不向き | 埋める庭・畑が必要 分解が遅い | 高価で電気代がかかる |
コンポストの選び方

コンポストはいくつか種類があるため、チャレンジしてみたいと考えても、どれを選べば良いかわからないと思います。
コンポストは、家の環境と、あなたの目的に合ったタイプのものを選ぶことをおすすめします。
- 生ゴミの臭いをなくしたい/家事をラクにしたい・・・生ごみ処理機がおすすめ
- 庭がない/お金は使いたくない/堆肥を活用したい・・・生ゴミコンポストがおすすめ
- 庭がある/落ち葉が出る、草が生える・・・落ち葉コンポストがおすすめ
生ごみ処理機がおすすめな人
生ごみ処理機は室内で使えるものも多く、家事を軽減し、生ゴミの臭いの軽減など、暮らしを快適に使用したい人には生ごみ処理機がおすすめです。
生ゴミコンポストがおすすめな人
生ごみ処理機は費用の面から厳しいという人の中で、生ゴミから堆肥を作りたい人におすすめです。
また、大きな庭がなくても使用できるので、土中式や回転式、バイオ式の生ごみ処理機などは置くスペースがない人にもおすすめできます。
落ち葉コンポストがおすすめな人
落ち葉コンポストは、生ゴミだけでなく、落ち葉や枯葉などを堆肥化したい人におすすめです。
落ち葉や枯葉は、生ゴミに比べて分解が遅いため、他のコンポストではすぐにいっぱいになってしまい、使うのが難しいです。
大量に落ち葉や枯葉が出るご家庭で、大量に堆肥を利用できる場合におすすめです。
コンポストの基本的な使い方
コンポストは、色々種類がありますが、
- 土中式コンポストの使い方
- 入れていいものダメなもの
を解説します。
土中式コンポストの使い方

コンポストの容器が、風邪などで倒れないようにするため、10cmほど土に埋める必要があります。
生ゴミや落ち葉、草が出たら、コンポストの中にどんどんと入れていきます。
中に入れた後は必ず土を被せます。土をかぶせることで分解しやすい状態にするだけでなく、入れた生ゴミや落ち葉などの水分を吸収し、悪臭の発生を防ぎます。
コンポストの中を定期的にかき混ぜることで、酸素が行き渡り、微生物を活性化させ堆肥化を早めることができます。
量が増コンポストの中を確認しある程度、分解が進んでそうな場合は、コンポストを外して、その上にビニールや土などを被せて保温、放置しさらに熟成させます。
入れていいものダメなもの
コンポストは何でも入れていいと思っておられるケースがあるのですが、実は何でも分解できるわけではありませんし、ニオイの発生に繋がったり、分解が遅くなってしまう可能性があります。
入れてダメなもの
牛骨、豚骨、貝殻(あさり、サザエ)、灰(落ち葉など燃やした後)、木材、竹、ビニール、紙
入れていいもの
落ち葉、枯れ草、青い雑草、生ゴミ、コーヒーカス、茶殻、動物の糞尿
まとめ
コンポストとは?どういうものなのか、種類やどんな人におすすめなのかについて解説してきました。
コンポストはいくつか種類がありますが、下記のようにあなたの状況に合ったコンポストを選びましょう。
- 生ゴミの臭いをなくしたい/家事をラクにしたい・・・生ごみ処理機がおすすめ
- 庭がない/お金は使いたくない/堆肥を活用したい・・・生ゴミコンポストがおすすめ
- 庭がある/落ち葉が出る、草が生える・・・落ち葉コンポストがおすすめ